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新書『誰も僕を愛さない』発売しました&番外編SSあり

7月29日に、三冊目になります新書、『誰も僕を愛さない』が発売になりました。
今作もたくさんの方々のお力をお借りして、一冊の本にしていただくことが出来ました。
本当にありがとうございます! お世話になりました!
そして何より、お手に取って読んで下さった皆さまにも、とても感謝しております! ありがとうございます!

今回は恒例の制作秘話的なお話は割愛させていただきまして、本編終了後の二人の日常にスポットを当てたSSを載せておきます。
たいしたオチもない話ですが、優貴の心情の変化をお楽しみいただければと思います。


それでは、以下、番外編SSです⬇
(タイトルは特にありません。思い付かなくて……)



「今度の水曜日、何か予定は入ってますか?」
 そう刀根に尋ねられたのは日曜日。
 優貴は仕事で使っている手帳を取り出すと、「その日は、三山さんと一緒に担当の店舗に視察に行くことになってる。帰社は午後の予定だから、そう遅くはならないと思う」と答えた。
 てっきり何か仕事の話があるのだと思い、そう言ったのだが、刀根は仕事のスケジュールではなく退社後の予定を知りたかったようだ。
「それなら帰りもそう遅くならなそうですね。仕事が終わった後、食事に行きましょう。八時に予約を入れておきます」
 まだ行くとは言ってないのに、刀根は一人で勝手に話を進めてしまう。かといって誘いを断る理由もないので、優貴は刀根がネットで予約を入れる様子を黙って見ていた。
そこではたとあることに気づき、再度手帳に視線を落とす。
――ああ、そういうことか。
 水曜日は優貴の誕生日だった。
 自分の中ではただ一つ歳を重ねるだけの日になっているが、そういえば過去に付き合った女性たちも、自分の誕生日はもとより、優貴の誕生日も祝いたがった。
 しかし、世間一般ではそういうものなのかもしれないが、優貴には寂しい幼少期を思い出させる日でもあるため、あまり特別なことはしたくないというのが本音だ。
「なあ、刀根」
「はい?」
「もし僕の誕生日だから食事に誘ってくれているのなら、そういうのはしなくていいから」
「どうしてですか?」
「……ほら、もう誕生日を祝ってもらって嬉しい歳でもないし」
 刀根はきっと子供の頃から家族に誕生日を祝ってもらっていたのだろう。
 だから当たり前に同じように優貴の誕生日も祝おうとしてくれる。
 でも、だからこそ、今まで一度も親に「誕生日おめでとう」と言われず、生まれてきたことを祝ってもらったことがない事実を言うことが出来なかった。
 そんな思いから適当な理由を口にすると、刀根がソファに座る優貴の隣に腰を降ろしてきた。
「優貴さん」
「ん?」
「その日は、俺のためにあけておいてくださいね」
 のり気ではないのに、そっと手を重ね優しい声音で念を押されて、優貴は結局それ以上断ることも出来ず、頷きを返しかなかった。

 ――そして水曜日。
 刀根は早々に仕事を終わらせたらしく、終業時刻間近になると優貴に近づいてきた。
 いいと言っているのに強引に手伝われてしまい、急かされるように仕事を終えた後、刀根が予約しておいてくれたレストランへと向かう。
 着いたのはイタリアンレストランで、デート向きの洒落た店だった。
 そんな店に、スーツ姿の男二人での入店はやや躊躇われたが、刀根は全く気にしていないようで、ズンズン先に立って歩いて行く。
 通された窓際の席で、その日のおすすめの料理を注文し、刀根はさらに自分は飲めないのにワインも頼んだ。それぞれのグラスにワインが注がれると、刀根は形だけ乾杯をして口をつけずにグラスを置いた。優貴はその様子を見ながら、上質のワインを一口含む。
 ワインの味は申し分ない。
 しかし、それを楽しむ余裕が今の優貴にはなかった。男女のカップルだらけのこの店は居心地が悪く、せっかくのワインや料理の味も純粋に楽しめないのだ。
 正直、こんなレストランじゃなく、いつも寄っている駅前の焼き鳥屋で煙に包まれながらビールを飲んで、周りの目を気にすることなく遠慮なく笑って過ごす方がよっぽど楽しい。
 早く出て行きたい一心で黙々と食事をしていると、ふと視線を感じ優貴は手を止めた。向かいの席で、刀根がじっとこちらを見つめている。
「美味いですか?」
「……ああ」
「よかった」
 刀根は安堵したように柔らかい笑みを浮かべ、自分もフォークを手に取る。
 何てことのない会話。
 なのに、なぜか先ほどまでとは別の感情が胸に湧き上がってくる。
 自分の誕生日なんてどうでもよかった。
 これまで恋人に祝ってもらっても、口では「ありがとう」と言いつつも、正直面倒くさいと思っていた。
 それは今も変わらない。
 けれど、こうして誕生日に一緒に食事をするくらいで刀根が嬉しそうな顔をするのなら、また来年も付き合ってやってもいいかと思い始めていた。
 ――でも、今後はレストランはなしだ。
 焼き鳥屋でも居酒屋でもいいが、一番は家がいい。
 二人で暮らすあのマンションで、刀根と二人で過ごしたい。
 こんな人目がある場所じゃあ、触れたいと思っても何も出来やしない。
 少しでも早く二人きりになりたくて、優貴は料理を口に運ぶスピードを速めたのだった。

    ――――END――――
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2016年07月31日(Sun) | お仕事情報 | TB(-) | CM(0)

新書『誰も僕を愛さない』発売のお知らせ

お久しぶりです~。
最近、月一更新になっちゃっててすみません。
特別忙しかったり、体調が悪かったりということでもないのですが、ちょっと時間が出来たので、溜めてた本をひたすら読んだり、目をつけてた海外ドラマを一気に観たり、合間に映画のDVD観たり、たまにお菓子を焼いたりしてたら、いつの間にやら日々が過ぎ去っておりました……。
ですが、久しぶりに存分に趣味の時間を満喫できのでホクホクしてます(*^^*)

さてさて、今日は大事なお知らせをさせていただこうと思います。

先月、仲良くさせていただいている橋本悠良さんの三冊目の著書『黒狼王の水鏡』が刊行されました!
都合が悪く、発売日当日に買いに行けず、二日遅れで本屋さんに行ったところ、すでに買われてしまっていて、三軒目でようやく入手出来ました!
好きな本は本屋さんの店頭に並んでいる物を自ら手に取ってゲットしたい、というこだわりがあるため、必死で本屋を巡りました~。
やっぱり発売日に速攻で買いに行かないと駄目ですね(*_*) 危なかったです。
それにしても、毎回思いますが、なんて雰囲気のあるタイトルなんでしょう。
タイトルだけで作品の雰囲気が伝わってきます。
それに比べて、どうして自分はこんなにタイトルのセンスがないのか!

あ、今月……と言いますか、もう今週ですが、7月29日(金)に、私も三冊目の新書『誰も僕を愛さない』が発売予定です。
ちなみに、今回もタイトルで頭を悩ませ、最終的に担当さまが考えてくださったタイトルをつけさせていただきました(^_^;)
本当に、どうやったら素敵なタイトルをつけられるのでしょうか……。次回こそ、100%自分で考えたタイトルをつけられればいいなぁ。

今作はyoco先生にイラストをつけていただいてます。





こんなに素敵に仕上げてくださいました!
ありがとうございます~!

内容の方は、少しダークな部分が入ってます。
私の好きな受要素を盛り込みました。

今回も中央書店コミコミスタジオさまで特典をつけていただいてます。
yoco先生のイラストカードがついてきますよ~! ついでに、本編のその後を書いたSSも!
ご一読いただけますと幸いです。
2016年07月26日(Tue) | お仕事情報 | TB(-) | CM(0)