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J.GARDEN45 新刊

あと二週間切りましたね!

遅くなりましたが、J庭45で頒布する新刊をお知らせします。

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『俳優とベビーシッター秘密の温泉旅行』A5 40P 300円

内容はタイトルにもなっている「秘密の温泉旅行」が本編終了後二ヶ月ほど経った頃に、三人で初めて一泊旅行に行くお話です。
もう一つ短編も収録してまして、そちらの「高良柾紀の受難」が、ライバル俳優・高良を主人公にしたお話です。
どちらも本編同様、ほのぼのしたお話ですのでサラッとお読みいただけると思います(*^^*)

当日はSS付きペーパーも無配で置いておきますので、通りすがりにサッと持っていっていただけると嬉しいです(^-^)

また、いつもと同じく書店様に委託をお願いしてあります。会場までお越しになれない方は通販で購入も可能ですのでご検討ください。
こちらも諸々が決定しましたらお知らせいたしますね。


前置きが長くなりましたが、以外、お試し読みです↓


「俳優とベビーシッター秘密の温泉旅行」~お試し読み~


有都の春休みが始まる少し前のこと。
慶が夕食の洗い物を終え手を拭っていると、桐生が仕事から帰ってきたらしく、玄関ドアが開閉する音が微かに聞こえてきた。
慶が反応するより早く、テレビを見ていた有都がソファからピョンと勢いよく飛び降り、廊下へ走っていく。
「おとうさん!おかえりなさい!」
開けっ放しのリビングのドアの向こうで、有都の元気な声が響く。
慶も続いて廊下に出ると、サングラスを胸ポケットに挿した桐生が有都を抱き上げ、こちらに歩いてきた。
「おかえりなさい」
「ただいま」
桐生がかがみ込むみ、そのままかすめ取るように軽くキスしてきた。
何の心構えもしていなかった慶は、びっくりして後ずさりしてしまう。
「き、桐生さんっ」
口元を押さえ、抗議のため桐生を見上げる。
年上の恋人は、泰然と微笑んだ。
「今日は俺の勝ちだな」
「何か勝負してましたっけ?」
「お前がキスを嫌がるから、俺にとっては勝負してるみたいなもんだ」
「別に嫌がっては……」
桐生はそんな風に感じていたのか、と慶は焦る。
人気俳優・桐生将一と恋人になって、二ヶ月が過ぎていた。
二人の関係が変化した後も、慶はこの桐生宅で彼の息子・有都のベビーシッターとして、住み込みで働いていた。
大好きな人と恋人になって、同じ家で暮らしていることには、とても幸せを感じている。
しかし、それは同時にプライベートと仕事が以前よりもさらに曖昧になってしまいかねず、生真面目な慶は、どこかで線引きしないといけない、と考えた。
そうして出した答えが、「有都が起きている間は仕事中」というものだ。
桐生にもそう伝えたのだが、不満そうな顔をされてしまい、一応は了承してくれたものの、隙あらばこうして恋人同士の接触を試みてくる。
何度か桐生と話し合い、「恋人とはいえ、お金をいただいているんだし、仕事は仕事でしっかりしないと」と言ったが、桐生は「お前は俺の家族同然だろ」と言ってきかない。
桐生の言いたいこともわかる。
慶だって、お金が欲しくて有都の世話をしているわけではない。
有都は大好きな人の子供であり、また有都自身のことも、他の子供たちよりも特別に可愛いと思っている。
自分とは血のつながりがないけれど、とても愛しいと思う気持ちに嘘はなく、有都の成長を傍で見られることが嬉しかった。
けれど、それでも、慶はまだリトル・エンジェルのベビーシッターで、会社から派遣されて桐生宅に来ているのだ。
桐生がお金を払い、慶をシッターとして雇っていることに変わりない。
――なら、仕事を辞めればいい。
桐生は、話し合いをした時に、そう何度か言い掛けているようだった。
けれど、はっきりとは口にしない。
それは、慶がこのベビーシッターの仕事を好きだとわかってくれているからだ。
でも本音では、仕事は抜きに、三人で暮らしたいと思っているようだった。
慶も何度か仕事を辞めることを考えた。
でも、やっぱりこの仕事が好きだし、仕事を辞めて桐生に全て面倒を見てもらうという生活には、抵抗がある。
そういったことから、これまで通りシッターとして働くことに決め、そのためにも仕事とプライベートは分けたいと思っていた。
だが、今のような言い方をされると不安になり、慶は困り顔になる。
キスが嫌なわけじゃない。
愛されていると実感出来るから、桐生から触れてもらえるのは純粋に嬉しい。
でもそれが問題なのだ。
桐生にキスされると、ドキドキして落ち着かなくなる。
もっと触れてほしいと思ってしまう時もある。
だからこそ、仕事との線引きは必要で、そうしないと自分の中でけじめがつかないと感じていた。
慶がしゅんとうなだれると、有都が突然大きな声を上げた。
「ぼくも!」
「なんだ、有都?」
「ぼくも、慶ちゃんとちゅーする!」
「ゆ、有都くん?」
「おとうさんばっかり、ずるい~。ぼくも慶ちゃんのこと、だいすきなのに!」
「ちゅーはすきなひとどうしがするもの」と知っている有都は、桐生に張り合っているようだ。
有都は桐生の腕の中で足をバタバタさせ、訴えてきた。
「しょうがないな、今日は特別だぞ」
なぜか慶ではなく桐生がキスの許可を出し、息子の可愛い駄々を叶えてあげるため、距離を詰めてくる。
慶も有都の期待した顔を見ていると拒むことなど出来ず、頬を差し出す。
「じゃあ、ここにしてくれる?」
「うん!」
頬に、柔らかく小さい唇が押しつけられる。
くすぐったい感触に、慶は「ふふ」と声を漏らして笑う。
「こっちも!」
「反対もするの?」
「おとうさんは一かいだったから、ぼくは二かいするの!」
普段はお父さん大好きっ子な有都だが、慶が絡むと桐生をライバルと認識するようだ。
そこまで自分に懐いてくれていることを心から嬉しく思いながら、慶は顔の向きを変える。
右の頬にまた軽くキスされ、慶は「ありがとう」とお礼を言った。有都も満足したようで、にっこり笑う。
「慶ちゃん、だいすき!」
「僕も、有都くんのことが大好き」
二人でニコニコと見つめ合っていると、頭上から桐生の少し拗ねたような声が落ちてきた。
「おい、俺は仲間外れかよ?」
視線を上げると、桐生の憮然とした顔が目に入った。
桐生は慶と目が合うと、「俺には言ってくれないのか?」と真顔で聞いてくる。
「有都くんの前で、そんな……」
「ああ?俺はどこでだって言えるけどな。俺は宇佐木慶が大好きだって」
桐生にきっぱりと宣言するように言われ、慶は顔を赤くする。
「ほら、お前も言ってくれよ」
「…………僕も……」
「あ?何だって?」
小さな声で告白したというのに、桐生はもっとはっきり言えと要求してくる。
いじわるな人だ、と思いながら、慶は覚悟を決めて、早口で言った。
「僕も、桐生さんが好きですっ」
恋人同士なのだから恥ずかしがることもないと思うけれど、やはり本人を前にして「好き」と改めて口にするのは気恥ずかしい。
それでも桐生のことが好きなのは事実だから、羞恥心を押し込めてそう伝えた。
耳まで赤くなった慶を見て、桐生は上機嫌な笑みを浮かべる。
おおげさに恥ずかしがったことを揶揄されるかな、と思ったが、桐生は微笑んだだけで、「有都、一緒に風呂入るか?」と言って脱衣所に入っていった。
慶は遠ざかる桐生の背中を見つめ、ホッと息をつく。
これまで恋人がいたことのない慶は、まだ桐生との距離感がつかめずにいた。
というのも、恋人になってからというもの、たとえ言葉ではいじわるなことを言ってきても、桐生の表情は甘さを含んでいるからだ。
それは本来なら嬉しいことなのだが、慶はまだこの空気に慣れておらず、恋人らしい態度を取られると、正直、どう返すのが正解がわからず、戸惑ってしまう。
「慶、着替え出しといてくれ」
シャワーの音と有都のはしゃぐ声にかき消されないようにか、桐生が浴室のドアを開け顔を覗かせる。
シャワーを軽く浴びた桐生の裸体が視界に入り、慶は目のやり場に困りつつ、「はいっ」と返し、足早に桐生の自室に向かったのだった。


~お試し読み終わり~

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2018年10月08日(Mon) | 同人活動 | TB(-) | CM(0)

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