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終わらない夢の中で・最終回

※本文は以下反転です。
 ↓
「あぁっ……!」
 突然の後ろへの刺激で向井は腰を震わせて達した。熱い迸りを口で受け止め、最後の一滴まで吸い出すと、内腿がガクガクと小刻みに痙攣する。
「あ、あっ……」
 有沢は躊躇せず口の中の蜜を飲み下すと、絶頂を迎え放心している向井の長い足を思い切り左右に開かせた。意識がはっきりしていれば、こんなあられもない格好をさせてくれない。
 熱に浮かされて頭が働かない隙をついて、後ろに差し込んだままの指を動かした。きつく閉ざされた蕾を傷つけないように、慎重に指を使う。
「あ、あ、……んっ」
「ここが好き?」
「ん、っ……」
 前立腺を指でいじってやると、達したばかりの中心がまたも頭をもたげはじめる。向井も素直に頷いた。
 指を三本使い充分に解れたとこで、有沢は自らの猛った中心を取り出し、もの欲しそうに収縮する蕾にあてがう。一番太い部分が飲み込まれると、後はすんなり根元まで入っていく。
「はっ……っ」
 腰を動かすと、逃すまいとするかのようにギュッと締め付けられて、その快感に有沢も夢中になっていく。
「正人、もう……、あぁっ」
「きつ……」
 向井の中心が爆ぜ、セーターの上に白濁を撒き散らす。達したと同時に後ろがきつく絞まり、有沢も出口を求めて彷徨っていた欲望を解き放った。
「や……!」
「……っ!」
 最奥に全てを注ぎ込むと、その衝撃で向井が全身を震わせた。
「健吾さん……」
 荒い息が整うまで待てず、情交の名ごりを残す艶やかな唇に口づけを落とす。熱く甘い口内を思う存分堪能し、ようやく身体を起こした。

「大丈夫?」
「うん……」
 まだ焦点の定まらない虚ろな瞳を覗き込む。
 飛沫の染み込んだセーターを脱がせようとたくし上げ、有沢は息をのんだ。
 そこに現れたのは、白い肌の上に走る大きな手術痕。何度も目にしているはずなのに、見るたびに胸が痛くなる。
「……どうかした?」
 一点を見つめたまま動かない有沢に、向井が不思議そうに首を傾げた。そして何を凝視しているのか悟り、悲しそうに笑う。
「そんなにひどいかな」
 有沢が傷跡の生々しさに眉を顰めていると思ったようだ。
「ごめん、そういうんじゃなくて…。怖いんだ」
「怖い?」
 ――まだ、怖い。
 こうして肌を重ねても、どれほど強く抱き締めても、彼が自分の元を去ってしまうのではないかと恐怖する。
 一抹の不安にかられ、薄い胸に手の平をあてた。大きな手術痕の下、しっかりと拍動する心臓を感じて、彼が生きてここにいることを確認し、ようやく安堵する。
 向井は手術後、強くなった。前から強い心を持っていたが、生きることを怖がらなくなり、積極的に行動するようになっている。
 それに比べて、有沢は臆病になった。
 もうあんな想いは二度としたくない。
 ――あの日、水原の執刀で行われた向井の心臓手術は無事に成功し、ほとんど完治に至っている。
 麻酔から覚めるまでの間、ずっと向井に付き添い、力のない手を握り締めて祈っていた自分の姿を思い出す。成功したと聞いても、彼が目を覚ますまでは信じることが出来なかった。
 そしてようやく彼が目を開け、自分を見つめて微笑みを浮かべてくれた時は、安堵と喜びで人目もはばからずに泣いてしまった。
 術後の状態を確認するために残っていた水原にも目撃されてしまったが、「そんなに大切に想われている向井さんが羨ましい」と彼らしからぬ言葉を残して、彼は大学病院を去って行った。
 片平も何度も顔を出してくれ、退院が決まると二人で礼を言いに行った。片平は口ではそっけないことを言っていたが、鼻の頭を真っ赤にして目元を潤ませていた。
 いろんな人に支えられて、今の幸せがある。
 でもあまりに奇跡のような幸福で、たまにこれは都合のいい夢なんじゃないかと疑ってしまうのだ。
「正人、大丈夫だよ」
 有沢の不安が伝わったのか、向井は諭すような口調で言うと、胸に置いた手を握った。
「約束する。たとえ明日、世界が終わるとしても、僕は正人の傍にいる。これから先もずっと、最期の一瞬まで正人を愛し続ける」
 それは三年前にどんなに懇願しても口にしてくれなかった約束。
 ようやく欲しかった言葉をくれた。
 幸せで、胸が押しつぶされそうになる。
「俺も……。もし明日、世界が終わるとしたら、あなたの隣にいたい。こうして手を繋いで、世界の終わりを二人で迎えたい」
 決して解けないようにと祈りをこめて、固く手を握り締める。
 彼は幸せそうに目を細め、あの日のようにフワリと微笑んだ。
「また一つ、夢が叶った」
 これからも数え切れないほどの夢が生まれるだろう。それを二人で叶えていくことが、たった一つの願い。
 窓の外では薄紅色の桜の花びらが、ひらりひらりと舞っていた。   




           ――――終――――


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2014年10月27日(Mon) | 終わらない夢の中で | TB(-) | CM(0)

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